シンクロニズム 戦艦の論 5-9 「ありのままの、姿見せるのよ。ありのままの、自分になるの。」








[アンヌ と 重患の戦士]  脚本 金城哲夫 方面




〜 告白するダン、カイル、おおかみおとこ 〜


地球人類の救世主であった「初代ウルトラマン」、「ウルトラセブン」、「帰ってきたウルトラマン」ら、ウルトラ兄弟は、平時はいずれも日本人に姿を変えており、防衛組織の一員として、危険因子に関する情報を収集している。そして、緊急事態に直面すると、巨大な元の姿に戻り、超法規的対処を成し遂げ、宇宙へ帰ったふりをしつつ、再度ミニマライズして地上に現れる。一般視聴者からは「変身することによって、超能力を発揮できるようになった」と、みなされがちだが、シリーズ初回に必ず説明されるように、元々が宇宙人だから「ヘンシンするのは、地球人に」だ。この時、ウルトラ能力は抑制している。


セブンが変身したモロボシ・ダンは、地球侵略をもくろむ敵性エイリアンとの度重なる戦闘によって、肉体的限界に達して行った。ウルトラ警備隊(在来防衛軍)プラス、宇宙警備隊(一方的軍事協力者)としての二重任務を抱えていることは、厳重に秘匿されている。しかし、世界の主要都市が破壊され、攻撃がさらにエスカレートするに及び、傷ついた戦士の身を案じて看病するアンヌ隊員に対し、その戦線復帰への制止を振りほどき、人間でない理由を説明することになった。


人気を集める変身ヒーローの中で、最も有名なウルトラシリーズにおける、最も傑作と評されるセブンの、最も感動的な場面は「ダンとアンヌの別れ」だ。まばゆい光をバックに、見つめ合う二人の横顔は、影絵のように暗転し表情は隠された。これによって、バックボーンの異なる二人の、愛情の隔たりは、急速に縮まった。後は見る側のイマジネーションに委ねて十分。しかも邪念を取り払う効果があった。この、シルエットによる演出は、サラと「未来戦士」と、花と「おおかみおとこ」が結ばれる際にも使われた。








[サラ と 氷結の戦士] 脚本・監督ジェームズ・キャメロン 方面




〜 T-1000 と T-800 、賢いのは 〜


作中では語られないが、「初代ターミネーター 」によって母を殺されたサラは、必然的に、電話口で「愛してる」の言葉をくれた声が、なりすましであって、母を殺した張本人のものであったことを知る。これほど非情に人を欺く行為はない。その「ショック状況」は、ごく普通の女の子の意識を、諦観から憎悪へ、フリーターからテロリストへ、銃後から最前線へ、大胆に変貌させるのに、マックスの影響力を発揮した。まもなく産まれて来たジョンには、徹底的に社会通念とは逆のことを教え、サバイバル技術を覚えさせ、他人に騙されないための知恵を吹き込んだ。


やがて札幌連続爆破事件の女のように、サラはサイバーダイン社の爆破を試みて失敗、逮捕、隔離される。未来を変えるためのやむを得ない方策だった。けれど、理解できる者などいない。取り残されたジョンは、里親に引き取られてから、素行の悪さを発揮し、他人のカードを使って、現金を引き出すことも容易にこなしていた。盗んだ金は「ミサイル・コマンド」に費やされたが、どのアーケードゲームも簡単過ぎて退屈していた。


警官に偽装したスマート “ T-1000 ” が、アナログ世代のターミネーターが用いた分厚い電話帳ではなく、サーバーの逮捕履歴を探って彼を見つけ出したのは、その頃だった。リアルな逃走ゲームと、サマー・ウォーズ・コマンドの始まりだ。





警察に追われる心当たりのある彼は、偽警官を見るなり瞬時に逃げ出し、最初の襲撃をクリアする。その夜、警官は養母になりすまし、初代と同様の手口で、家に電話するジョンとの連絡に成功する。とは言え普通の少年ではなく、サラの息子であったために、おびき出すことはできなかった。なりすまし氾の間抜け具合を露呈した “ ウルフィー ” は、怪物退治の英雄叙事詩である「ベーオウルフ」の愛称であり、「帰ってきたターミネーター」の博識を証明している。ちなみに、ジェームズ・キャメロンが飼っていたシェパードも同じ名前だ。


ジョンはサラと合流し、サイバーダイン社を派手に爆破したために、警察無線を聞いていた偽警官もさすがに気付いた。でも一足遅く、ハイウェイに逃げられたので、強奪したヘリですぐさま追いかけることになった。トレーラーによる一度目の襲撃では橋梁にぶつかったが、今度はその下を、ギリギリ通り抜けることができた。しかし、またも追突を招き、足止めを食らった。大破したヘリから乗り換えたのは、危険物積載中の後続タンクローリーだ。驚くべきことに、“ スマート1000 ” は、積んでいる「液体窒素」(Liquid nitrogen)が、触れた物は何でも凍らせる「雪の女王」であることを知らなかった。

 
“ アスタ ラ ビスタ ベイビー ”








[花 と おおかみこどもの雪]1  監督 細田 守 方面




〜 どうしたの、花ちゃん 〜




  「花ちゃん、犬、飼いだしたのかい?」



 「あ、えぇ、まあ、、」



  「ありゃ、オオカミじゃないの?」

  「ねぇ、あんた、ありゃ、オオカミよね」



 「、、」



  「バカ言え、今どきオオカミが日本にいるかよ」

  「ありゃ、シェパードと何かの雑種だ」

  「なあ、花ちゃん、当たり? ねぇ、当たり?」



 「ゆ、ゆきぃぃ、、」








 





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