シンクロニズム 戦艦の論 4-12「えっぶりぃわぁーーーーーん!!!」
総動員まで「八艘飛び」要約
時は90年代ニューヨーク。
裏社会とつながり、闇の利権をむさぼっていた麻薬捜査官に対し、
なすすべないボブカットの少女「マチルダ」は、
粗末なアパートのベルを鳴らしていた。
彼女以外の家族全員、皆殺しとなった部屋を通り過ぎ、
一人の浪人「レオン」に救われる。
唐突にスナイパーの腕を身につけた彼女は、
セントラルパークでジョギングする合衆国大統領を一撃すると、
ダウンタウン史上初めて、公権力による支配の呪縛を乗り越えた。
ついに、二人を逮捕するために全警察が隠れ家を強襲する。
みるみる築かれる犠牲者の山、その中にレオンも紛れた。
そして、重傷警官に偽装した彼が、
命と引き換えに抜いた手榴弾の安全ピンは、
立ちふさがる最後の汚職捜査官をミンチにし、
大切に育てていた鉢植えの観葉植物は、
自立の根を大地に伸ばした――。
「仇を討つ。」
「マチルダ、そりゃ無茶だ、俺はプロの掃除人だが、殺しのやり方なんざ教えられねぇ」
「いくら払えばいい?」
「12歳の子供が殺し屋雇うなんて、そんなこと聞いたこともねぇ」
「私、この目で見たの、家族が殺された部屋のことよ」
「ここに逃げてくる時に見たの」
「弟を殺されたの、何もしてないのに、まだ四つだったのよ」
「よく笑う子で、隣に座っちゃ抱きついてきたわ」
『レオン』
素敵なゲーム。
「私が頭を撃ち抜いて死んだら悲しむ?」
「別に。」
「愛してるわ、レオン」
銃口をこめかみに当てて引き金を引くマチルダ、
レオンが飛びかかって、弾はかろうじて逸れた。
「私の勝ちよ。」
レオンは、人を遠ざけ感情を押し殺して生きており、
始めは依頼を断るが、自らの生命を賭して哀切を訴えた少女に、
人間らしさを呼び覚まされ、報復の手助けをする。
そんな彼にとって一番大切な物は、
鞄に詰めた服でも金でも銃でもなかった。
いつ命を狙われるか分からず、椅子の上で警戒しながら寝る彼が、
真っ先に持ち出す荷物は「鉢植えのプラント」であった。
これを大事にしていることを知ったマチルダも、
葉に霧吹きで水をかけ、丁寧に拭いている。
(鉄男に退けをとらないオールドマンの切れぶり)
やがて報復に気付いた悪徳捜査官が、管内のSWATをかき集めて、
無慈悲な攻撃を強行すると、レオンは「それ」をマチルダに託して逃走を援護した。
I want to be happy,
sleep in a bed, have roots.
(「俺は、ちゃんとベットで寝て、根を張った生活がしてみたい」)
Please, go now, baby, go!
(「マチルダ、さぁ、行ってくれ」)
レオンが永久に去って、一人取り残されたマチルダは、
形見の植物を、日当りのいい寄宿学校の庭先に植えた。
意味深く、百姓の田植えでラストを迎える『七人の侍』と同じだ。