シンクロニズム 戦艦の論 3-13 「4、3、2、1、バルス!(ガミラス語)」





Sci-fi 1

「第一砲塔へ動力伝達」


ガンダム世界名作劇場になり損ねた、
その原典は『十五少年漂流記』だった。
白虎隊の少年らが集団自決した20年後に、
フランスで発表された冒険小説である。

原作者はSFの父ジュール・ヴェルヌで、
他の代表作『海底二万里』と共に、
夏休みの課題図書に選ばれることが多い。


海底二万里』を原案にし、
NHK総合で企画されたアニメもある。
ふしぎの海のナディア」(1990年)だ。

放送の遥か前に企画が枝分かれし、
時を隔て製作されたのが「天空の城ラピュタ」(1986年)で、
両企画は同じ先祖を持っていたため、
間接的だがよく似た設定になっている。

エヴァには直接的な原案小説はないが、
ふしぎの海のナディア」系列にあり、
伝達要素が強い。



「圧力臨界点を突破」


ナディアに登場する万能戦艦「ノーチラス号」は撃沈されたのち、
ぼろぼろの遺跡に名を譲り「Ν-ノーチラス号」としてヤマト的復活軸線に乗った。
エヴァQで、このシークエンスを空中戦艦ヴンダーが再々現する。



「装薬充填完了」


先にもふれたが、ヤマトはハインラインSF小説『地球脱出』が原案。
ガンダムは「十五少年」だけでなく、同『宇宙の戦士』の影響も強い。
これら鉄板コンテンツの源流は“ S F ”にある。


モビルスーツ(特にガンキャノン)のデザインの原型は、
小説版「宇宙の戦士」に描かれた「パワードスーツ」だ。
宇宙戦艦ヤマト」のメカデザイナーが、
出版社の依頼で挿絵として描いた日本独自イラストであった。



「パワードスーツ」なくして『パシフィック・リム』なし





Sci-fi 2

「自動追尾装置セット完了」


エヴァンゲリオンで、
アニメ誌以外の流通専門誌やファッション総合誌が、
特集を組むことは、今では決して珍しくない。

これを他に先駆けて敢行したのが、
その出版社が1959年に創刊した「S-Fマガジン」である。
エヴァがまだ社会現象になっていない当時としては画期的なことであった。

SFに触発されたヤマトがブームを大衆化し、SFマガジンが勢いづき、
同人がガンダムを胚胎し、エヴァの大ブーム化を側面から支援した。
文学がガンダムエヴァの結晶核となり、
周辺文化を栄養源に日本のメディアが培養したということだ。

自慢すればいいと思うが、これは早川書房の隠れ功績と言える。

代わりに著者自慢で恐縮だが、
むかしむかし偉大過ぎる同雑誌の営業を軽はずみに担当し、
誤差修正上下角3度で異動させられたことがある。



ところで「エスエフ」は和製コードネームである。
編集人による非常に優れた翻訳略語だ。
(英語 → Science Fiction、Sci-fi)
この雑誌のキャッチワードによって、
“空想科学”ではない、クールなSF世界観が少年少女の間で定着した。

例えばウルトラマンの、怪獣ミステリー「科学特捜隊」は、
ウルトラセブンで、SF・ミリタリーを強化し、
スペース・防衛「TDF」への進化を果たす。


そして、世界中でフジヤマ・ジャパンだけに、SFアニメのカンブリア紀が訪れる。
爆発的に生成されたタイトルの中で、洗練されたごく一部の映像文化は残り、
そうでない大多数は系統樹の半ばで絶滅していった。









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