シンクロニズム 戦艦の論 3-12 「クララのバカっ!」





クララ、アルプス山麓に立つ! 1 〜おしえておじいさん〜 



ガンダムは、初回放映時に視聴率が低迷したことと、
途中打ち切りになった不遇状況がヤマトと似ている。
第二次世界大戦時の連合国・独裁国家との対立軸や、大都市破壊・大量殺戮、
零戦開発に影響を受けたと思われる、次世代兵器の類似も分かり易い。

しかし、設定が似ているのはそこだけだ。
ファンが熱狂し、映画化され、大ヒットし、
社会現象になったのは後の話で、
企画段階で想定されていたことではない。

セイラと雪のサービスシーンも、
萌えの奔りとして突出して記憶されているだけで、
意図して模倣した訳でない。

「ヤマト」に対しての「ムサイ」
「愛の戦士」に対しての「哀・戦士
「宇宙」に対しての「そら」等の言い換えは、
トレースではなく当てつけだ。


ガンダムから、ハードな設定(戦争要素)を取り除くと、
意外にも「アルプスの少女ハイジ」になる。なぜ?


風立ちぬ」の宮崎駿が、実力を世に知らしめたこの作品には、
後のガンダム総監督が絵コンテで参加していた。

作曲の渡辺岳夫 、 編曲の松山祐士らも一緒だから、
雰囲気は「世界名作アニメ劇場」だ。
ガンダムがフジヤマを舞台にしなかったのも、
この源流があったからかもしれない。


愛と勇気と“ ロマン ”の「さらばー、地球よー」は
甲子園の応援歌にぴったりだが、
葛藤と成長と“ リアル ”の「たちあがれー、ガンダム」は、
なぜか応援テーマにならない。

そして、世界戦士ガンダム一宇戦艦ヤマトとでは、
主人公たちの参戦理由が対極的で、ドラマ内容に類似点がない。
名作劇場の方は、味方の大人のずるさや、敵兵の立派な心意気が目立った。
仲間との対立を経て、絆を深めるにも時間をかけている。

主人公アムロをライバル視するが、
まるでかなわないハヤト。
世の中に対し斜に構えていたカイは、
次第に周りとの折り合いの付け方を学ぶ。

そして、自分の殻を打ち破れないアムロに、
厳しいセリフをぶつけて、立ち上がらせるのが、
少年たちのリーダー、ブライトの役目だ。



「何よ意気地なしっ!」

「一人で立てないのを足のせいにして、足はちゃんとなおってるわ」

「甘えん坊! 恐がり! 意気地なし!」

「どうしてできないのよ、そんな事じゃ一生立てないわ」

「あたしもう知らない! クララなんかもう知らない!」



_ちがった。



「殴ってなぜ悪いか」

「貴様はいい、そうやって喚いていれば気分も晴れるんだからな」

「甘ったれなんだ」

「殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか!」

「俺はブリッジに行く。アムロ、今のままだったら貴様は虫けらだ」

_ブライト






クララ、アルプス山麓に立つ! 2 〜ユキちゃん〜


アルプスの少女ハイジ」には沖田艦長のような、
風格を漂わせた「髭おじいさん」が登場する。

華奢なユキちゃん(雪)の面倒を見ているのも同じだが、順番はハイジが先だ。
親子で出征し、息子(ハイジの父)を失ったというのが原作の設定であり、
同じ境遇の沖田と共にキャラクター設計に大きく影響している。
また、同時刻の放送枠などシンクロ具合が半端ではない。

普段は無口で人を寄せ付けないが、
危険を察知すると猛然と人事に介入する。
山を甘く見た登山家たちを厳しくたしなめながら、
遭難すると命がけで助けに行く優しさを持ち、
周りから一目置かれる存在だ。

ガンダムTHE ORIGINで、
連邦に対する反乱罪でガルマにハラキリを迫った
レビル将軍もルックスがシンクロしている、
沖田艦長にではなく、ハイジのおじいさんにだ。



「なあクララ、世の中には足が悪くて一生歩けない人がいっぱいいる」

「だがクララの足は、運のいい事に必ず立てると決まっているんだ」

「いつ立てるかなんってどうでもいいじゃないか、そんな事気にしないで頑張るんだ」

「さあ、勇気を出しなさい」

_おじいさん






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