戦艦の論 THE SEVEN II「お前を呼んでいる。受け入れるのだ」









第六幕  - 【 東西天地文明の “ 出会い ” と “ 衝突 ” 】( 2 )  “ 聖体祭儀 ”



 「 分 離 」〜 世界の防衛 〜 

1.『レイ』


STAR WARS 7』公開の117年前、「宇宙戦争」発表。
それは「World War I」勃発16年前にして、日本の軍事思想家が「世界最終戦論」を発表する42年前であった。

宇宙戦争」著者のハーバート・ジョージ・ウェルズは、我が国の戦艦保有数を削減したワシントン会議に出席するなど、国際政治への発言力も強かった。しかし、最悪の予言は回避できず、先進国は核開発に成功し、大国への戒めは今も生き続けている。




2.『メリー・アン』


アルジェリア」(邦人10人が犠牲となる事件も記憶の彼方に)
ウクライナ」(オデッサ作戦の舞台としてなら有名)
「日本」(世界最古の独立国とはあまり知られていない)



 1. レイ  ← 「レイ・ハリーハウゼン

 2. レイチェル ← 「レイチェル」(『2001年宇宙の旅』博士の宇宙電話の中でも出てくる)

 3. ロビー  ← 「ロビー・ザ・ロボット」(「ユートム」、「アナライザー」、「託児所ロボット」)

 4. オグルビー  ← 「オーグルビー」

 5. ティム  ← 「手塚治虫

 6. メリー・アン  ← 「友里アンヌ」(『2001年宇宙の旅』作業ポッドの一つの名前はアナ)


 憧憬の空似

おおかみこどもの雨と雪

 母「花」 ← アンヌ(アン、ハンナ、ハナ)

キリストを産んだ聖母マリアの母親がアンナ(ハナ)





3.『メリー・セイラマス』



「戦艦の論」むすび  〜 このテーマが採用された経緯について 〜



 聖母の母アンヌ



当連載の目的について改めて説明したい。これはもともとウルトラセブンに登場した、「アンヌ隊員」のイラストに添えられたキャプションであった。そのヒロインは「知っていれば知っている」が、「知らない人は知らない」まったく興味を引かない存在だ。


背景知識を持っているものでなければ、伝えにくい要素も多く、概要の説明だけでは事足りない。そのため、気になっていた属性を書き記し、特別に編集された文脈を作り出すことによって、「知らなくても」伝わるような、憧れの共有感覚を呼び覚まし、使い古しの表現に頼らず、誰も指摘しなかった角度からの論陣形成を試みたものである。


端から絶対的多数の人に読んでもらおうという意図はない。タブで「思想」と銘を打っているのは、読者の負担にならないよう、最初にふるいにかけてもらうためだ。もはやキャプションとは呼べなくなった、長大過ぎる文章については、せめて読みやすくと、「ウルトラホーク」と同じく三体分離した。


出だしは、絵画(ここでは嬢画)を描くモチーフとなった、アンヌ隊員像を整理してみることから手を付けた。その試みは、より簡便に、後に影響を与えた作品タイトルを列記するだけでもよかった。それならば特撮ヒーローではなく、異なるジャンルのマンガやアニメの方がおもしろいと思った。


具体的に、渦中のセブンが他の映像作品を産み出すのに大きな影響を与えたと思われ、その作品自体も影響を拡大連鎖し続けている作品に、おなじみの「ヤマト」と「エヴァ」がある。しかしながら、その一つ一つにも、理解のための適切な文脈が必要で、捉え方は世代や関心領域によって千差万別であり、個人的な動機をわかってもらうためには、解釈のための解釈が必要であった。結果として収集が追いつかず、ここまで結びの論が長引いたのであった。



 戦艦の論 THE SEVEN



ウルトラマンのように、今なおキャラクターや世界観の支持が高く、シリーズ展開途上にあって、解釈の仕方が一様ではなく、影響が文化のみならず、産業へまで発展している事象を、ことごとく拾い集めることは難しい。しかし、リアルタイムでオリジナルを知らない人に、導入で興味を持ってもらうためには、具体的な事例をあげるのがもっとも効果的だ。


さらなる立証作戦の、強力な援軍となるのは「ガンダム」である。ヤマト、エヴァ、その関係性をつなぐ骨子を外すわけにはいかない。100年後の小学校の教科書にも余裕で掲載されている、時代反映単語(ニュータイプ)は宇宙世紀の機動戦士に他ならない。ガンダムと言えば、日本人のだれもが、中身は知らなくても、まったく話が通じないということはない。それほどのインパクトが、おもちゃチックなガンダムという語感の中に潜んでいる。コレジャナイロボを引き合いに出すまでもなく、醸成されるイメージ(記号)は、「孫のクリスマスプレゼントにマチガイナイ」だ。


さて、刀や銃を持って集団で戦うホワイトベースの少年兵たちを白虎隊となぞらえて意識し、一年戦争はやり直しの戊辰戦争だと認識していた自分には、玩具的要素とは別な意味合いで個人的な思い入れもあった。とはいえ、猛烈に影響力のあるアイコンを同時に見比べることは、必殺技のワイドショットに「拡散波動砲」と「拡散ビーム」を掛け算するようなものだ。そこで、恣意的に選んだ四作品を、欲張って拡げ過ぎず、適度に約分してまとめる時の、キーワードにしてスタート点のとなるものが、戦艦だったということだ。


男子のほとんどが一時期憧れを抱く「戦艦」に類するワードとして、作品中で繰り返し使用される主役ヒロインの固有名詞も重要だ( 綾波 や セイラ や 雪 )。それらは、因果関係をあぶりだすための、とてもよい検証ツールとなった。



 Santa's gift



趣味にまつわる個人的な昔話をもう一つ。自身、最初の思い出に残るクリスマスプレゼントは「帰ってきたウルトラマン」の塗り絵帳だった。それまで意識して絵を描く習性のなかった保育園児に、サンタの贈り物という付加価値は、チープな割にはアグレッシブなモチベーションを喚起させた。「絵を描くのが好きだから、サンタがプレゼントしてくれたんだよ」という言葉を聞くまで、自分は絵を描くことが好きとは思っていなかったからだ。この呪文の後作用は大きい。


テレビ放映からしばらく経って「ジャック」という固有名詞を与えられた「帰ってきたウルトラマン」は、おもちゃ販売のために「初代ウルトラマン」との区別が必要だった。ウルトラシリーズには「エース A」がいて、「キング」がいて、「クイーン」はいないが元祖は「Q」で、なおかつ「ジャック」がいるので、ポーカーならあと一枚でストレート。「仮面ライダーディケイド」がウルトラマンならロイヤルストレートフラッシュができたのに、惜しいことだ。


そういえば、『タイタニック』に出てきた絵描きの卵も同じ名前であった。タイタニックの方はカードゲームで勝って、高額な航海チケットを手に入れている。ハイジャックにも用いられる「ジャック」には「狩りをする人」という意味があるらしい。ジャックが出会ったヒロイン「ローズ」は、薔薇という意味になるが、その命名解釈については、いずれまた。

















にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村