シンクロニズム 戦艦の論 6 - 2 「死んで貰います。」
第五幕 - 「反日偽装戦線」 “ おおかみ ” ( 1 )
千と千尋、雨と雪、高倉と菅原 の 神 隠 史
保守モンスターの潜行ときらきらキラーの衝突、
もしくは警察機構の役割と神々集う日米の文化装置について比較しています。
【 野獣死すべし 】
1.「山下警部」(『太陽を盗んだ男』)
「おまえが一番殺したがっている人間は、おまえ自身だ」
「死ねっ!」
「地獄へ落ちろ!」
「さあ、逝くぞ “ 9番 ” 」
手錠にかまわず、擬装コクーンから使徒を引きずり出して特攻ダイブする菅原ヴンダー。
2.「韮崎のおじいちゃん」(『おおかみこどもの雨と雪』)
「笑うな!」
「なぜ笑う、笑ってたらなにもできんぞ」
「気に入らん」
「どうして、そういつもヘラヘラ笑っている」
「笑うな!」
愛しい“ 花 ”に何かと世話を焼きながら、決して優しい言葉をかけないツンデレ・ヴンダー。
3.「釜爺」(『千と千尋の神隠し』)
「わしゃあ、釜爺だ」
「風呂釜にこき使われとるじじいだ」
「あんたも気まぐれに手ぇ出して、人の仕事を取っちゃならね」
「ここにあんたの仕事はねぇ、他を当たってくれ」
エヴァ第13号機のように腕がたくさんある声優ヴンダー。視聴率では『南極物語』に勝利。
4.「松本警部補」(『ブラック・レイン』)
「停職処分を受けた」
「もう警部補ではない」
「あなたの手助けはできない」
「私は警察組織に属していた、」
「だが外された」
「他を当たってくれ」
停職にした大阪府警の大橋警視(神山 繁)は、『アウトレイジ ビヨンド』で関西最大の花菱会会長。
5.「沖田」(『新幹線大爆破』)
「“ ひかり109号 ” に爆弾を仕掛けた」
「この爆弾は、時速80キロになった時、自動的にスイッチが入る」
「それ以上のスピードで走っていれば爆発しないが、」
「再び80キロに減速すると爆発する仕掛けになっている」
『新幹線大爆破』のスキャットは、教えておじいさんの歌声に同じ。『アルプスの少女ハイジ』であってヤマトではない。
6.「ペイン」(『スピード』)
「“ 路線バス ” に爆弾を仕掛けた」
「この爆弾は、時速80キロになった時、自動的にスイッチが入る」
それ以上のスピードで走っていれば、、以下略。爆発したのはキアヌ・リーブス人気。
昭 和 残 侠 伝
かつて、二匹の狼がいた。
仁義なき世界から度々刑務所に送り込まれていた一匹は、更生して丸の内署の警部に出世した。しかし、未曽有のテロ犯からの逆指名手配によって自由を奪われる。一方、網走刑務所から度々脱走を試みていたもう一匹は、生まれ変わって東京地検のエリート検事にまで登りつめた。だが、こちらも政界不正を追及したため、仕組まれた冤罪により拘束された。
日本でもっとも “それ” の似合う狼たちは、一旦はかける側に役を置いたが、体制に取り込まれてからも、無実にかかわらず手錠をかけられた。そして、無法と遵法との両極を行ったり来たりしながら、最後の最後に、ものすごくいい人として終焉を迎えた。
『太陽を盗んだ男』 前代未聞のテロリストに迫る警部
エヴァファンにはおなじみの曲「YAMASHITA」、神殺しの男 文太ー。
→ 『千と千尋の神隠し』 親切な窯焚き職人
→ 『おおかみこどもの雨と雪』 強情すぎる老農夫
『君よ憤怒の河を渡れ』 巨悪を追う検事
文化統制されていた中国にとって、初めて面白い映画を見せてくれた健さんは神。
→ 『新幹線大爆破』 情け深いテロリスト
→ 『ブラック・レイン』 感情を抑えた実直な刑事
「狼」、「大地の牙」、「さそり」の連続爆弾テロにより、ヤクザ以上の過激イメージで左翼が社会的信用を失い、多くの保守批判学生が任侠映画から脱皮し始めた時、70年代の脅迫パニック・ムービーを皮切りに、デートにも使える娯楽映画ブームに火がついた。スピルバーグとコッポラがハリウッドの新潮流を持ち込むまで、国内覇権は“ アニメじゃない ”邦画が握っていた。
国内 テ ロ の系譜
「われわれは、アイヌ人民、沖縄人民、台湾人民の反日帝闘争に呼応し彼らの闘いと合流すべく、反日帝の武装闘争を執ように闘う“ 狼 ”である。」(御召列車爆破を計画していた「東アジア反日武装戦線」の声明)
今から、ちょうど110年前の1905年、ニホンオオカミは資本主義の犠牲によって絶滅させられた。その70年後の1975年。
凶暴な思想の割には、とても真面目でおとなしく見える「東アジア反日武装戦線」“ 狼 ” の、大道寺将司、大道寺あや子、片岡利明、佐々木規夫は、警視庁公安部により潜伏先にて逮捕(活動絶滅)され、同年『新幹線大爆破』が公開された。