シンクロニズム 戦艦の論 6 - 1 「これが、沖田戦法。」







メディア考古学史 
ゴジラ、ヤマト、ターミネータータイタニック


兵を用いるに至りては、夫れ孰れか好む所ならん

マリーンモンスターの航行ときらきらキラーの衝突、もしくは大元朝の政治活動と史実に記録されない日米の文化活動、について講釈しています。




第五幕  - 「親日武装戦線」  “ おおかみともだち ” ( 1 )


【 古代から未来 】  〜 肉 斬 断 骨 興 廃 総 戦 〜 




1.「古代ヤマト」(倭国/処女航海)

出雲(オオクニヌシノオオカミ) → (国譲り) → ヤマト王権(天照大神)
白村江の戦い → (敗北) → 太宰府水城 → (防衛) → 元寇 → (撃退) → 「神風」
日本海海戦 → (神国不滅) → 「バルチック艦隊」 ← (T字戦法) ← 東郷ターン


「皇 国 の 興 廃 此 の 一 戦 に 在 り」




2.「タイタニック」(オリンピック級客船2番船/処女航海)

巨大船舶製造技術 → (羨望) → 富の集中促進 → (慢心) → 安全軽視 → 「衝突コース」 ← 古代氷山


「取り舵いっぱい! 全速後進!!」→ 史上最大のハラキリ


 ※ 姉妹船の「オリンピック号」は、ドイツ潜水艦「U-103」に雷撃された後、これを体当たりにより撃沈している。




3.「アンドロメダ」(アンドロメダ級戦艦1番艦/テスト航行)

巨大船舶製造技術 → (発展) → 兵力の拡大促進 → (慢心) → 味方戦闘力軽視 → 「衝突コース」 ← 古代ヤマト


「かまわん、真っ直ぐ進めぇ!」 → タイマン戦


 ※沖田艦長亡き後は、古代進が艦長代理を務めている。




4.超弩級「ドメラーズ3世」(改ガミラス一等宇宙戦闘艦/完全包囲)

巨大船舶製造技術 → (発展) → 兵力の拡大促進 → (慢心) → 敵戦闘力軽視 → 「衝突コース」 ← 沖田ヤマト


「ぶつける覚悟で進めぇ!!」 → 艦隊特攻


 ※ドメラーズは、「宇宙の“狼”」ドメル将軍座乗艦である。




5.「ホワイトベース」(ペガサス級宇宙戦艦/宇宙へ)

第13独立部隊 → (兵力補充) → 木馬はオトリだ → (余裕) → 敵戦闘力軽視 → 「衝突コース」 ← シャアザンジバル


「ぶつかるつもりで、突っ込め!!」 → 艦隊特攻




 「ザンジバル、よけません。」

 「突っ込んできます!!!」



 「恐かったよ、ザンジバルとすれ違ったときはさ」

 「あれが、シャア戦法、、。」










第五幕  - 「親日武装戦線」  “ おおかみともだち ” ( 2 )


【 中世と近未来 】  〜 ビル爆すドン 宝だアキラ  〜 




1.「ゴ ジ ラ」

B-29爆撃機325機 → (焼夷弾爆撃) → 「ミーティングハウス2号作戦」(東京大空襲)
米航空隊386機 → 「戦艦大和大爆発」 ← (海上特攻) ← 連合艦隊
マンハッタン計画 → (爆縮技術) → B-29爆撃機単機 → 「原子爆弾投下」
古代怪獣ゴジラ上陸 (通常攻撃無力) → 「東京湾岸高電圧防塁」(全施設用地強制徴発)
→ (突破) → 「オキシジェン・デストロイヤー」 → (溶解) → スケルトン化


「完全な状態で作用させるには、水中操作以外に方法がありません。」 → 芹沢の遺言


「あのゴジラが、最後の一匹とは思えない。」 → 山根博士の捨て台詞





2.「エヴァンゲリオン

蒙古上陸(兵を用いるに至りて) → 「博多湾元寇防塁」(防人強制徴発)
日の大将軍「景資」(かげすけ)蒙古副指令を射抜く ← 屋島の戦い(もしも射損じれば、腹をかき切って自害せん)
使徒侵入(通常攻撃無力) → 防護アーマー貫通(初号機回収) → 「ヤシマ作戦」(全電源強制徴発) ← 古代八洲国


「高エネルギー収束帯による、一点突破しか、方法はありません。」 → 葛城作戦 


「今は余計なことを考えないで、一撃で撃破することだけを考えなさい。」 → リツコ博士の捨て台詞





3.「初代ターミネーター

核弾頭弾道弾大量打ち上げ → (人類掌握) → スカイネット ← (防御網破壊) ← カイル・リース
T-800(派遣) → (ガソリン・トレーラー強奪) → 爆破炎上 → (スケルトン化) → オートメーション工場 ← (トドメ刺し) ← サラ・コナー



「わずかしか一緒にいられなかったけど、私たち一生分愛しあった。」 → ジョンへの伝言






4.「帰ってきたターミネーター

T-1000(派遣) → (空トレーラー強奪) → 激突炎上 → 「機能復元」
→ (ナイトロジェン・トレーラー強奪) → 転覆氷結 → 「機能不具合」 → 溶鉱炉 ← (ポイッとな) ← T-800(初代のチップ)


「完全に未来を変えるためには、俺も始末するしかない。」 → ジョンへの遺言


「あのチップが、最後の一個とは思えない。」 → 故ダイソン博士部下の捨て台詞






『 ゴ ジ ラ 対 タイタニック


 「君の見たい(ゴジラ)が見れるよ」2


「権利関係」という最もタンニンなシステム支配下に関わらず、ゴジラの出てこない(ゴジラ)のような作品を果敢に製作してきた先達が、海外にもいた。


一作目ゴジラに続く、歴代シリーズにタンニンしていた熱心な初ゴジ信望者は、そんなクリエーターを多いに支持した。そして、そぞろ神が乗り移ったように、「時をかける兵士」達が目覚めると、古代の怪獣を一時忘れ、これに心狂わせた。神まねきにあった彼らが尊崇したのは、来世よりロサンゼルスに現出した、三宝荒神ターミネーター』と、賛美歌を奏でながら十字架と共に沈んだ『 タイタニック 』である。



さる関係者には誠に遺憾ながら、両者こそユニバーサル・バラエティ生態系の頂点に君臨する、真の呉爾羅であった。結果的に、ファン希求のゴジラ待望熱は、それら「ゴジラの出てこない、国外の(ゴジラ)」によっても解消された。



かつてハリウッドで製作された『 ターミネーター 対 サラ・コナー 』は、見てくれこそメインキャラクターが、機械人間の暴力と無慈悲と執念とを、正式契約に基づいて宣伝しているが、その実態はあろうことか「アクション・ホラー」ではなく、『ゴ ジ ラ』がまさにそうであったように、人類究極の選択に揺れ動く、若い男女の一途過ぎる「ラブ・ストーリー」であった。



また、一度は敵として倒したはずの大凶荒神が、忘れた頃に続編の中で甦ると、今度は心強い守護神になっているという、逆転設定まで同じだった。ゆえに、敵と味方が一致しないだけでなく、影響が子供(ジョン・コナー)に及び、シンクロが裏返しに双ループする現象が起こってしまった。



 悲劇の効用



公開当時、世界最高興行収入を上げた、モンスター級豪華客船の重要なエッセンスは、投げ捨てられる「碧洋のハート」に完全凝縮されている。出世作ターミネーター』では、愛についての主張が伝わらなかったためか、監督キャメロンは次に製作する作品から、思い切り分かりやすく舵を切り直した。そのため、これでもかというほど「愛」に比重を傾けられた『タイタニック』の、「巨大ダイヤ、ポイッとなシーン」は、期待した意味での理解に届かなかった。



アイロニカルなメッセージとして、十分痛烈だったにも関わらず、ラストにいたるまでがあまりに面白く、その過剰な感動のせいで、ほとんどの観客は、感極まり涙に咽び、論理的思考を止めていた。命を投げ捨てることで、至高の愛を成就させた『ゴ ジ ラ』の、芹沢博士とて同じことだ、なんともったいないメッセージであることか。



誰もが知っている「SOS」を、海難救助を求める信号として、歴史的初期段階に使ったのは現実世界のタイタニック号であった。しかし、沈没する貨物船に発信させ、世間に定着させたのは、実際のところ架空世界のゴジラである。後者には、戦後の復興途上にあった時代の、忘れるべからざる「戦災」や「大災害」や「政策ミス」に対する、「警鐘」や「教訓」や「戒め」が込められている。



今からちょうど60年前の、霜月11月。ゴジラは、「戦意発揚映画」でも「教育用ドキュメンタリー」でも「行政指導要綱」でもない、モノクロの「大衆娯楽作品」として公開された。それは庶民の目線で、奥(末端の意)の日本人に贈る、極めてわかりやすい「慢心」回避のための思想書でもあった。



敗戦からまだ10年経っておらず、水爆実験により日本の漁船多数が再び米軍の犠牲となったばかりで、660万人いた出兵兵士の「復員事業」は、この年まで続いていた。科学信仰が、疑いを持たれなかった1954年。過去の惨禍を忘れるように発展する「政治経済体制」に対し、置いてけぼりを食っている、貧しい労働者階級が、映画製作者の中にいたことも事実だ。



彼ら敗戦国の下層文民にとって、どんな文明利器も歯が立たない “怪 獣” は、単なる恐怖の的ではなかった。文壇の受けは良くなかったが、資本権力が横暴を働かせる中で、かのヒーローは、唯一奴らを懲らしめることができた。ターミネーターが、融通の利かない行政職員を薙ぎ払ってくれたように、ゴジラもまた、国会や警視庁や大新聞社を踏みつぶし、群がるうるさいレポーターを叩き落とし、うっぷんを溜め込んだ被抑圧者のカタルシスを、盛大に喚起してくれたのだった。



 アンダー・ザ・プレッシャー



上からの圧力にどこまで耐えられるかという、深海探索を生業とする、タイタニックゴジラ両作品の主人公達の視点は、映画の世界観に入り込んだ、平均的な観客(現代人)の立ち位置であった。『タイタニック』であれば最初に登場する、宝探しの「ビル・パクストン」であるし、『ゴジラ』であれば南海サルベージ社潜水員の「宝田 明」であろう。トレジャー・ハンターの妄執が過去に逆流し、隔てられた海の向こうで至宝の共振を生んだ。



さて、ゴジラと同じく「東宝」撮影所で撮影され、同じ1954年に公開された「国宝」級作品がある、、。その監督は、東京国際映画祭のポスターに起用されたことで、各方面で話題になっており、名前くらい知らないと、相当に恥ずかしいというレベルの、そういう大御所である。彼が、漫画「A K I R A」の由来ともなっていることは、「戦艦の論」的にも重要だ。直接この映画に関わっていないが、すでに作品評価の安定していた “黒 澤” 組は、隣のスタジオで制作する「G作品」チームを大いに刺激した。



一方、ならず者が集められた “本 多” 組には、「G作品」で主人公を演じた新人「宝田 明」の他に、かの有名な旋律を編み出した音楽の「伊福部 昭」、ゴジラのデザインをした美術の「渡辺 明」、宣伝を担当した「工藤 明」がいる。アキラで奇跡のフォーカードをツモったのは豪勢だが、「七人のアキラ」には三人も足りない。



やがて、ゴジラはシリーズを重ねるごとにマンネリ化していく。しかし、宇宙怪獣と戦わせるなど、荒唐無稽ながらも大胆なアイディアで、映画と娯楽の新境地を開拓していった。『 七 人 の 侍 』撮影中、ゴジラの撮影所へ遊びに行っていたらしい土屋 嘉男(好戦的な百姓役)は、後に「X星人」統制官役で、碇ゲンドウがつけていた不気味なゴーグルを着用し、宇宙なまりの日本語をしゃべって、純真な子供たちをビビらせた。











 
 「(希望)は残っているよ。マシンにも命の尊さを学べるのであれば」


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