シンクロニズム 戦艦の論 5-7 「信の世界に偽詐多く、疑の世界に真理多し ( 福沢 諭吉 )」




[フューチャー・ウォーズ] 製作・脚本・監督ジェームズ・キャメロン 方面




〜 ある一体の未来戦士は、人に偽装し人を愛した。 〜


「帰ってきたターミネーター」はアンドロイドである。天才工学博士ダイソンが開発した、AI「スカイネット」とのサマー・ウォーズに決着を付けつつあった人類の、最後の切り札でもあった。それは怪獣ベムラーを追って、宇宙からやって来た「ウルトラマン」のように光の玉の中から現れ、人類の敵と死力を尽くして戦った。そして原住民のアバターを用いて、地球の生活に深く立ち入りした「ウルトラセブン」のように、本来の使命を忘れ、愛のために自身の体を滅ぼさんと、固く決意するのであった。


アイル・ビー・バックが口癖のターミネーターが、時を飛び越えて現代にタイムスリップして来たのは、それが二度目であった。「初代 T-800(Cyberdyne Systems Model 101 Series 800 Version 2.4)」は、か弱い女の子に、無慈悲なストーカー行為を繰り返す、弩Sタイプの暴力機械人間であったが、見た目がまったく同じ「帰ってきたターミネーター」は、主人の命令には何でも従う、弩M78星雲の従順機械人間だった。


“ 帰ってきた ” の主人「ジョン・コナー」は、未来のロサンジェルスで抵抗軍を指揮する指導者である。彼は、アンドロイドに自身を守るプログラムを埋め込み、コンピューターとの戦争勃発前(審判の日前)に送り込んだ。スカイネットが過去の自分を暗殺する計画を立てて、新型ターミネーターをそこに行かせたからだ。


時をかけて辿り着いた場所はほぼ同じ、警察官に偽装した最新機械兵士「T-1000」は、パトカーに搭載された検索システムを使って少年時代のジョンの家に行った。そして、情報を得るとすぐにゲームセンターで遊んでいる彼を発見した。しかし “ 帰ってきた ” は、ショットガンを花束で偽装できるくらい余裕を持って先回りし、難なく奇襲を阻止することが出来た。




 「家に寄ってよ」



  「ダメだ、T-1000が家を張っている」



 「ホント?」

 「でも、せめて電話くらいしなきゃ」




自宅に公衆電話からコールするジョン




 「何も変わりない?」




電話に出て優しく答える養母、
犬がやけにうるさいと悪態つく養父


飼い犬マックスが吠えまくるのは、
養母が「T-1000」の擬態であることを見抜いているからだ


夫は、いつもジョンに辛く当たっている妻が、
今日だけは猫なで声を出しているのが分からない



 「(ヘンだな、、)」


回線経由でも気付いたジョン



  「どうしたの?」



片手で夫を殺しながら、平然と気遣いの言葉を入れる養母


“ 帰ってきた ” が電話を代わりジョンの声色で聞き返す



 「どうもしないよ」

 「 “ウルフィー” が吠えているけど大丈夫?」



  「 “ウルフィー” は元気よ。それより、今どこなの?」



わざと“マックス”の名前を間違えることで偽装が判明した
マックスはジョンの母「サラ」が護身用に飼っていた犬だ




この一件によってジョンは、疑っていたサラだけがただ一人正しく、彼女を嘘ツキだと決めつけていた、養父母や、友達の親や、近所の店員や、学校の先生や、役所の指導員や、警察や、検察や、裁判所や、精神分析医や、新聞やテレビや雑誌や政治家の方が間違っていたことを知る。





余談だが “ 帰ってきた ” は、とっさに思いついた名前になぜか “ウルフ” を使っている。










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