シンクロニズム 戦艦の論 5-4 「うつくしいものが、きらいな人がいて?」





【 ビギニング 】  〜 不思議と、知っているような名前だな  〜 




 街外れを走るバギー、フロントを叩く雨


 「もぉうっ、」


 「天気の予定表ぐらい、くれりゃあいいのに!」





 コテージの軒先で雨宿り、力なく湖面に舞い落ちる水鳥


 「かわいそう、、」





 「すいません、とつぜん」


 「あの鳥のこと、好きだったんですか?」





 「美しいものが、嫌いな人がいるのかしら?」


 「それが年老いて」


 「死んでいくのを見るのは、悲しいことではなくって」


 「あなたは、何も感じなかった?」





 「あ、いや、僕の聞きたいことは」


 「そういうことじゃなくて」





 「やんだわ。」





 「え?」





 「うふ。きれいな瞳をしているのね、、(笑)」





宇宙(そら)の湖畔に降りそそぐ、
予期せぬ俄雨に出会ったふたり。

よけいな挨拶を受け付けず、
形而上の言葉を投げ返すララァ

「好きか、そうでないか」の二択に対し、
唐突に「悲しいこと(死)」を持ち出されて、
かみ合わず、はぐらかされるだけのアムロ

キリッとしたマチルダへのものとは違う、
手の届きそうな、でも遠いような、もどかしい想いが芽生えた瞬間である。
それが異性に対する憧憬なのか、革新的人類の共振なのか、
まだお互いにわかっていない。


背伸びするメカ好き少年にとっては早過ぎ、
大人びた不思議少女にとっては遅過ぎる、
異なる次元の「めぐりあい宇宙」だった。


美しいものの死期をその瞳に映したアムロと、
差し込む光と共に走り去ったララァの命運は、
そのあと大きくシンクロし、そして永遠に離れていく。








【 いつか重なる 】   〜 ふしぎと、知っているような名前なでぃあ  〜




ララァ

大戦の行方を左右する超能力少女、助けてくれた人のために闘う。
機動戦士ガンダム』(キャラクターデザイン 安彦良和)





「メカ好き少年との出会い、褐色の肌、緑色の瞳」で偽装しているが、
鳥を愛するお下げ髪、民族的なワンピースの意匠、は、
「ラナ」に似ている。







「ナディア」

大戦の行方を左右する超能力少女、助けてくれた人のために闘う。
ふしぎの海のナディア』(キャラクターデザイン 貞本義行)





「メカ好き少年との出会い、褐色の肌、緑色の瞳」で偽装しているが、
二人で逃避行、大事な宝石を差し出す設定、は、
シータであると同時に「ラナ」。









【 いつかはじまる 】  〜 不思議とふしぎと、知っているような名前らな  〜 



「元気少年との出会い、色白で、黒い瞳」のラナとは、
見た目には正反対のようである。

しかし、欲望をむき出しにした、大人の都合で捕われの身となり、
人類の命運を、その清らかで強い心と、か細い腕に受け止めたところは、
三者ともに、まったく重なるのであった。



未来少女 と 古代少女


「ラ」ラァ と 「ナ」ディア  


はじまりは、宮崎駿













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