シンクロニズム 選管の論 3-8 「波の数だけ抱きしめて」




かつての武家地、河田町から港区台場に移転した、
名前にフジヤマを戴くテレビ局は、家族団らんの日曜19時半
アルプスの少女ハイジ」で驚異的な数字を叩き出していた。


その1974年。


ライバル社は、これに対抗できる裏番組を擁立したが、
結果は大惨敗し、企画の後半は打ち切りとなった。


『地球脱出』(著 ロバート・A・ハインライン) 方面プロジェクト


オフィスアカデミーの西崎義展は、
宇宙戦艦ヤマトの原案を修正し、テレビ総督府に放送継続を訴える。

しかし、インテリジェンスに欠ける下参謀は、
無礼にもこの企画書を握りつぶした。


「今さら何を言うか!」

「こげなもの持って来よる暇に、視聴者の数字取ってまいれ!」


ここに、クールジャパン戦争の火蓋が切られた。







フジヤマをオープニングロゴに使う、最も古い日本の映画会社は、
ヤマトが火をつけたブームに乗り遅れまいと、アニメ配給の一作目にガンダムをチョイスする。
ブームとは言っても、世界の垣根を超え、本格的に燃え上がるには次の瞬間が必要だった。


その1979年。


『宇宙の戦士』(著 ロバート・A・ハインライン) 方面プロジェクト


日本サンライズは恭順嘆願の使者として、
おもちゃ屋と親しかった、創通エージェンシーをテレビ総督府に放っていた。
制作局長との談判を求めるが、取り次ぎにあたった営業部係長は意味が理解できず、
集団で企画変更を加え、その後放送を打ち切りにした。


「この賊徒めが!」

「売れないロボットに金を使わせるとは、不届き千万!」








「企 画」とは、


最も人使いに無策で、


最も時流に無関心で、


最も結果に無責任な、


管理職から権限を簒奪する戦いである。



内容が優れているからといって、必ずしも採用される訳ではないし、
酷い内容でも決定権者の気分や、根回し次第で予算が付けられることもある。

ヤマト、ガンダムのような革命的企画が、
新し過ぎて、世の中に認知されるまでに、
数年のタイムラグが発生する場合もある。

中身は良い方がいいに決まっているが、
これ以上の案はないという、血と汗と涙の結晶でも二日酔い上司によって、
あっさり否決されるのが組織というものだ。

社会とは政治が支配するゲームセンターであり、
票の獲得によって、候補者は勝者と敗者に二分される。

現状維持が主食の管理職と違って、
弱肉か強食の企画に中間はない。



だ だ だ だ インベーダー、おっしゃレッツ 世界征服「だ」。



海外SFの洗礼を受けた、若い日本の初期オタクに対し、
大衆支配権者に成り上がった、
超高給取りの大メディアサラリーマンは、
青年向け映像分野に対し絶望的に鈍感であった。

海外文学に対する敬意や、自己の評価能力に対する客観的認識にも乏しい。
まして、「セブン」、「ヤマト」が異国人に与えうる衝撃、
ガンダム」、「エヴァ」の映像的インパクトなぞ到底イメージできない。
前例通りに稟議書回したり、シュレッダーかけたりする、
日常に恋して、にんじゃりばんばん常識わかるかな。



立てよ国民!



視聴率かき集めて表彰を受けた総督府の中間管理職に、
如何ほどの戦力が残っていようとも、それは既に形骸である。
敢えて言おう、カスであると。

それら軟弱電波の集団が、
初音ミクを抜くことは出来ないと私は断言する。

GMT47や、くまもんや、埋もれた数々のゲイシャたちは、
赤貧クリエーターに権限委譲されて、初めて永久に生き延びることが出来る。

これ以上規制を続けられては、日本文化そのものの存亡に関わるのだ。
予算計画連邦の無能なる者どもに思い知らせ、
明日の未来の為に、我が国々民は立たねばならんのである!


ジーク・リア・ディゾン!(黒船)




画像は五年前に描いたもの。




にほんブログ村 アニメブログ ロボットアニメへ
ランキング変更セリ