シンクロニズム戦艦の論 2-7　「メリー・クリスマス、ミスター・ローレンス。」

「戦場の南無八幡大菩薩」

父親の死を契機として、
運命に翻弄されて行く歴史上人物に源義経がいる。

幼名を「遮那王」(シャナオウ)といい、
リトル・プリンセス・セイラの兄、
プリンス・シャアと似ている。

さて、東国武士を率いた源義朝、
「九番」目の男子が果たした名合戦シンクロである。

一「ヨシツネ、ジーン、デニム、トウジ、ケンスケ」
1184年　摂津国　一ノ谷の戦い　〜逆落とし編〜

二「ナスノヨイチ、アムロ、ジャクソン、シンジ、ヤエ」
1185年　讃岐国　屋島の戦い　〜扇の的編〜

三「ヨシツネ、アスカ、シャア」
1185年　長門国　壇ノ浦の戦い　〜八艘飛び編〜

一「ヨシツネ、ジーン、デニム、トウジ、ケンスケ」

「源平合戦」一ノ谷の戦い　〜鵯越の逆落とし編〜

「逆落とし」とは、義経率いる騎馬軍が、
急斜面を駆け下りた無謀とも言える攻撃である。
思わぬ搦め手よりの奇襲により、平氏本営は脆くも総崩れとなる。

『機動戦士ガンダム』第一話

サイド７を強襲するザク、
宇宙港気密エリアより人工大地へ向けて下降、
急峻な崖をすべり降り着地。

「火薬式ザク・マシンガン」、大口径薬莢をまき散らし、
地面で湯気を上げる。(注1)

みんなの迷惑になるとの制止を無視して、飛び出しているアムロ。

「こんな退避カプセルじゃもたない」(危機感からくる焦燥)

勝手に搭乗、慌ててガンダム頭部のバルカン砲を撃ちまくる。(注2)

「こんなビッグイベントだっていうのに」(期待感からくる焦燥)

委員長ヒカリの心配をよそに、地下避難所を抜け出しているケンスケとトウジ。

『新世紀エヴァンゲリオン』第参話　

初号機の「火薬式ガトリングガン」、大口径薬莢をまき散らし、
路上の車が潰れる。

連射効果なく、第4使徒に放り投げられ山腹に到達。
ケンスケとトウジを操縦席に収容し、
内蔵電源がなくなる刹那、斜面を駆け下り直接攻撃に至る。

二「ナスノヨイチ、アムロ、ジャクソン、シンジ、ヤエ」

「源平合戦」屋島の戦い　〜扇の的編〜

「屋島」で、義経の指名を受けた那須与一は、
神仏に祈り、船上の扇を弓で射る大役を果たした。
挑発が仇となり、平家側兵士のモチベーションは一気に下降する。

「我が国の神明よ、願はくは、

あの扇の真ん中射させてたばせたまへ

これを射損ずるものならば、

弓切り折り自害して、

人に二たび面を向かふべからず

いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、

この矢はづさせたまふな」

『機動戦士ガンダム』第二話

「ビームライフル」初登場。

ミライ・ヤシマ(初心者)が操艦するホワイトベースは、
飛来する大型ミサイルを回避できない。
照準に入れたアムロが撃ち漏らしていたら、
その後のストーリーはなかった。

「キャッチした。

やってみます」

「頼む」

「こいつなら、、。

当たれぇっ！」

『プライベート・ライアン』(1998)

ライアン救出チーム八人の内の一人、ジャクソン狙撃兵。
「ボルトアクション・ライフル」を使用、一射ごとに祈りを捧げる。
ノルマンディービーチ上陸より、敵タンクの砲弾を撃ち込まれる間際まで、
ほとんど狙いを外さなかった。

「神よ、我が手と指に、

戦う力を与えたまえ

主は、我が岩、我が城なり、

我が砦、我を救うものなり

我が盾、我が頼むものなり」

『新世紀エヴァンゲリオン』第六話　「決戦、第3新東京市」

ヤシマ作戦。

「ポジトロン・スナイパー・ライフル」。

詳細割愛。

『八重の桜』第 □ 話　「決戦の地、会津」(仮)

鶴ヶ城籠城戦。

「お城は渡さぬ」

「ならぬことは、ならぬのです！」

「スペンサー連発銃」。

オープニングテーマ曲は、坂本龍一。

三　赤糸威鎧「ヨシツネ、アスカ、シャア」

「源平合戦」壇ノ浦の戦い　〜八艘飛び編〜

遂に戦いは決した。
もはや、入水特攻しかない。

山下警部のように屈強な男「平教経」が、
せめてもの道連れに、
九郎義経を羽交い締めにしようとすると、
彼はこれを身軽に躱し、次から次へ、八艘の船を飛び回った。

『新世紀エヴァンゲリオン』第八話　

空母を中心とする大艦隊で輸送中に襲われ、
艦から艦へ飛び移り、躱して行く弐号機。

海中に没した後、使徒の口を開いて戦艦二隻による同時零距離射撃を敢行。
戦艦からのダイブ、水没しているビル群、巨大生物との格闘は、
「未来少年コナン」第一話にそっくり。

『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』第一話

「ルウム戦役」で、５隻の戦艦をザク一機で撃沈。
次々に艦を蹴り、反動を得て他艦に急接近し、
それも瞬時に攻略して飛び去る戦法。
これぞ、まさに八艘飛び。

後に「赤い彗星のシャア」と呼ばれる事に。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』

海上輸送ではなく、
空輸からの「逆落とし」に変更された２号機。
使徒の偽装コアを「扇の的」のごとく弓矢で撃ち抜く。
「八艘飛び」は、アスカ自身が代行している。

自由落下しながら戦闘をくりひろげる様は、
初めて地球圏に降り立つシャア専用ザクが、
ガンダムとホワイトベースを空襲する場面にそっくり。

“ 南無八幡大菩薩 ” とは

「 O Great God of Arms, I beseech your aid against my enemy ! 」

　ということである。英訳。

那須与一が弓を射る前に言ったとされる。

崇敬の感嘆詞「南無」は、ナマス(テ)と同じ語源(インド由来)を持つ。

「八幡神」は、武士の守護神である。
ゆえに初詣で賑わう鶴岡八幡宮は、鎌倉幕府を開いた源氏に所縁がある。

神にすがるしかなかった、特攻隊員が出撃して行った基地には、
たいがい「南無八幡大菩薩」の大幟が掲げられていた。